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UnoMinのインドネシア生活

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秘境 タナトラジャへの旅 友人宅訪問編

4回にわたってお伝えするタナトラジャの旅日記も今回が最終回です。

3日目、最終日のこの日はまず、地元のマーケット見学からスタートします。
大みそかだったこの日
トラジャの中心町ランテパオで6日に1度開催される水牛マーケットがある日。
1か月前にトラジャを旅行したジャカルタの友人に、
「水牛マーケットには行った方がいいよ」とおススメされていた。

ホテルの送迎シャトルバスに乗ってマーケットまで行く。
…でも…
前日夜に降った雨で地場がこんなにぬかるんでいる。。(写真手前)
これでは水牛舎のあちら側にある水牛マーケットまでたどり着けない。。
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「今黒いビニールの長靴が欲しい!」
って思ったけれどそんな便利なものがあるはずもなく、水牛マーケットは泣く泣く断念。

でもこちらの豚マーケットは見られました。
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年末の買出しに来ているおじさま(写真左)がいて豚を10匹オーダー。
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すると「ハイまいど!」とスタッフのお兄さんたちが3,4人がかりで豚を捕まえ始める。
必死に抵抗する豚。
まずは豚のボディーを足を使って抑え込み、豚の手足を素早くひもで縛る。
縛られてしまった豚は抵抗してもなされるがまま。
バイヤーであるおじさんのトラックに乗せられて旅立っていった。

結構危ない仕事なのかな、、スタッフの方たちの顔や身体に傷が目立っていた。
そして、
前々日のお葬式セレモニーの時と同様、豚の悲痛な鳴き声をまた聞いてしまった。。
しばらく豚は食べられなそう。。ってこの時思った。

その後は水牛マーケットのすぐ傍にある地元のマーケットを見学。
食料品から衣類、日用品が揃うインドネシアどこでも見られるような典型的なマーケットだった。

宿泊しているトラジャヘリテージホテルで
「このボルのマーケットの近くに
日本に輸出するクオリティーのトラジャコーヒーを作っている会社がある」
という情報を仕入れた私たち。

これは行かないとでしょう!ということになって、マーケットから歩きました。
20分くらい歩くと会社に到着!
美味しいコーヒーが買えると胸躍る。
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「ピンポーン♪」
…反応なし。
「ピンポーン♪♪」
…またしても反応なし。
って当たり前でした。この日は大みそか。会社がやっているはずもありません(汗)。
確かに会社の玄関の窓ガラスには
日本の某有名ブランドの商品写真が飾られている。。ちょっと悔しい。

傷心の私たちはベモ(乗合バス)に乗って町中に戻りお土産を買った後
昨晩行ったCafe Arasでランチ。
またゆっくーりランチをして、ホテルに戻り、夜に備えることにしました。

さて午後6時半。
主人Tの友人Lさんの運転手さんがホテルで私たちをピックアップしてくれます。
車に乗り込んだ私たち。
「トラジャ人の人たちはどんな生活をしているのだろう。」
畦道のような細い道をすごいスピードで走る日産車の中で
「大みそかだし、忙しいだろうな。。迷惑じゃないかな。大丈夫かな。。」
なんて考えていた。

ホテルから45分ほどして辿り着いた、
ランテパオから奥深くに入ったところにあるLさんのお宅。

敷地内ではトラジャで大みそか恒例のキャノンと呼ばれる花火
(竹筒に火薬を入れて爆発させる)← 先進国だったら安全基準を絶対通らない
がパンパン大きな音を立てている。

快く迎え入れてくれるLさんとお母さん、そしてご家族、親せきの方たち。

事前に主人Tから聞いていた情報によると…
彼女の家は代々貴族の家柄で、初日に見に行った王家の墓は
実は彼女、Lさんが「ご先祖様が眠るところだから」と言って
見に行くと良いといっておススメしてくれた場所。

相当豪華な家に住んでいるんだろうな、と思っていたら意外にも簡素なお宅で、
「これが典型的なトラジャ人の家なのよ」と話してくれた。
こちらはリビングルーム甥っ子さんが寝転がりながら遊んでいる。
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(寝室ではなく、リビング兼ダイニングルームなので許可を得て撮影)

窓の上の隙間から入る風で空気が循環するように作られているみたい。
インドネシアとは思えないほど、涼しい。私には寒いくらいだった。

こちらがご馳走になったトラジャ料理。
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竹筒でお肉とお野菜をココナッツミルクで蒸し焼きにしたパピオンもある(右上)。
実はこれ、使用人の男性が作ってくれたものらしいのだけれど、
彼はとにかくこのパピオンを上手に作るので、毎日毎日20年間
ひたすらパピオンをこの家族の為に作り続けているらしい。他の仕事は一切せずに。。
確かに…
Lさん家のパピオンは滞在中4回食べた中でダントツ1番美味しかったです。
でも豚だったみたい。。
朝のマーケットでたてた誓いを、同じ日にやぶってしまった。。

さて、もう一つ…
Lさん宅を訪れる前の主人T情報があります。それは…

実はLさんのお父様は昨年8月に亡くなっていて、
ご遺体はまだご自宅にいらっしゃるとのこと。
上のお部屋写真の左奥に1部屋ベットルームがあって、そちらに大きな棺がありました。

この日大みそかだったこともあって、訪れる方たちが多かったのだけれど
その何人かはまず、こちらのお部屋に入って、棺にある扉を開いて中の様子を見ていたり
話しかけたりしていた。
もちろん、臭いとかは一切なし。

トラジャは不思議な文化がたくさんで、
Lさん、そしてLさんのお母様を質問攻めにしてしまった私たち。
また新たなトラジャの文化を勉強しました。こちらにご紹介します。

・お葬式をするまでは故人はまだ生きていると信じられている。
 なので自宅にいても不思議ではないし、話しかけるし、ご飯も毎食運ぶ。
・但し、お葬式が終わるまで服装は基本的には黒か白のみを着用。
・故人の配偶者は故人を見守る為に葬式が終わるまでは
 家の敷地内から一歩も外を出てはいけない。 買い物もいけない。
・お葬式までは家を開放し、村の若者たち(男性)に食事をふるまう。
 確かにこの夜も後から若い男の子たちがたくさんやってきて、ここでご飯をたべていた。
 でもこの日は私たちが一番客だったらしく、私たちが最初にお食事をした。
・私たちのことをジャパニーズ、もしくはオラン ジパン(インドネシア語で日本人の意)とは言わずに
 「ニッポン」と呼ぶ。戦時中最初に読んだ呼び方を今でも変えていない。
 そして面白かったのが友人のフランス人をオラン ブランダ(インドネシア語でオランダ人の意)
 と呼んでいたこと。白人はみんなオラン ブランダ(オランダ人)と呼ぶのだとか。
・私たちにとって未だミステリーなのはアルビノ水牛。
 持っていますか?と聞いたらやっぱり。。Lさん所有していましたアルビノ水牛。
 しかも市場価格は600万円だとか!
 ついこの間Lさんのアルビノ水牛を500万円で欲しいと言う人が現れたのだけれど
 「売らなかった。。これは父の為に取ってあるの。」との事。
 皮膚の色合いや斑点の雰囲気で
 Lさんのアルビノはトラジャの人からとってみるとほぼ完璧で憧憬の的。
 購入した時は90万円ほどだったらしいのだけれど、土地が上昇するように、
 その価値も上がっていくのだとか。そしてこのアルビノ水牛1匹で大きな土地が買えるのだとか。
 でも話をしていて、このアルビノの価格はトラジャだけで回っているものだということが分かってきた。

白熱していくキャノンの花火
居住スペースのすぐ真隣にあるトコナンから聞こえる音楽と男性たちの笑い声
大みそか、そして数時間後のニューイヤーを皆で盛大にお祝いしていた。
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帰り際、お礼とお別れを言った時
Lさんのお母さんに
「トラジャでは来客が来るとその家には幸運が舞い降りるって信じられているの
だからどうもありがとう。」
って言ってもらい、ホロっとなりそうになってしまった。
本当に温かい人たち。
大みそかに訪れて、何となく申し訳なさそうにしている私たちに、こんなに優しいお言葉。
「ありがとうございました。」

ホテルに戻ると新年まで残すところあと1時間半になっていた。
シャワーを浴びてベランダの外から見られる花火を観賞。このニューイヤー花火はジャカルタと一緒。
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次の日、元日は8時間かけてマカッサル空港まで戻り
無事、ジャカルタに戻ってきました。
家に戻ってまずやったこと、それはお清め。
日本人すぎますでしょうか私、、。トラジャでの全ての体験がスピリチュアルだったので
家に入る前に塩でお清めしてしまいました。

久々の”ウルルン”旅行になったタナトラジャ旅行。
アクセスが不便だからと今まで行くチャンスがなかったけれど
今回思いきって行ってみて本当に良かった。
同じインドネシア国内にいながらこんなにもエキゾチックな雰囲気を味わえるなんて
インドネシアって広いなぁ。面白いなぁ。と改めて思った。
400もの違った民族が生活しているインドネシア。
私たち日本人がそのおおらかな国民性に学ぶところは多いと思う。
そう再認識した旅でもありました。

長い旅行記、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
感謝致します。 m(_ _)m
by unomin | 2013-01-20 13:19 | インドネシア国内旅行