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UnoMinのインドネシア生活

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秘境 タナトラジャへの旅 セレモニー編

年末年始の週末を利用してインドネシア スラウェシ島にある
秘境タナトラジャに行ってきました。
「トラジャコーヒー」を聞いたことある方も多いのではないでしょうか?
そのコーヒー豆はこの地域で栽培されています。

ここに暮らすトラジャ人は独特な死生観を持っていて
これにかかわる風習や生活習慣、そのユニークさでは
ダントツ世界一なのではないかと思います。
実際訪れて、それを自分の目で確かめて
タナトラジャの”不思議”を思う存分体験、と同時に雄大な自然も堪能してきました。

一昔前まではバリに次いでインドネシアで第二の観光地だったというタナトラジャ。
それだけ「見ておいた方がいい」場所なのだけれど
スラウェシ島マカッサルにある空港から車で8時間もかかるアクセスの悪さから
行かれない&どうしても後回しになってしまいますよね。。
でも実際行ってみて、「決心して良かった」と思いました。

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夜10時、ジャカルタから飛行機に乗って2時間でスラウェシ島の南端マカッサルへ。
ここから車に乗って8時間、
手つかずの原生林が残る奥深い山道を越えてタナトラジャに辿り着いたのは朝9時。
(ジャカルタ(ジャワ島)ースラウェシ島には1時間の時差あり)
こちらは夜明け前、途中の休憩所で撮った写真。
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ほとんど寝ていないのに荷物をおろしてすぐに観光に出かける私たち。
車とガイドさんのパオロさんはホテルがアレンジしてくれた。

まず私たちが向かった先は…
何故かスーパーマーケット。

ここでコカコーラ缶 2ダース x 2箱
お砂糖 1kg x 8袋
を購入。これはなぜか?… 後でご説明しますね。

そして次に向かったのがここ、お葬式会場。
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前述の通り、トラジャ人は独特の死生観を持っていて
人は生きている間と同じくらい、いえ、それ以上に死後の世界は重要と考えている。
なので死の世界の始まりとなるお葬式は、彼らにとってとにかく大切なセレモニー。
遺族は、財産をなげうってお葬式を盛大に、豪華に行うことで
故人が無事天国に辿り着き、安らかで不自由のない暮らしが出来るようにと祈念する。

年末時期だから、お葬式見学は難しいと諦めていたのだけれど
たまたま、トラジャでも有数の上流階級の方のお葬式が行われていて
TV局も複数来ていて
ガイドのパオロさん曰く、一年にあるかないかの大規模なお葬式を見学することが出来ました。
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生贄にされてしまう動物たちの会場入り行進。
既に会場には生贄がたくさんいたのに。。まだこんなに追加されるなんて。。
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トンコナン(トラジャの伝統的家屋)にある番号は、招待客が見学&待機する場所。
一番のVIPが番号1の席に着く。
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7-8日間続くと言われるお葬式セレモニー。
生贄になる水牛、豚の数は合計数百匹にもなるのだとか。
この数が多いほど裕福な家族の証拠。

ここでガイドのパオロさんが私たちの目を(・ ・)点にする事実を教えてくれた。

亡くなった方、
実は一年ほど前に亡くなっていたそう。
家族がこのセレモニーを準備する為に約1年の月日を必要としてこの日、こうして実現したとの事。
それまでなんと、棺の中のご遺体はご自宅に安置されていたそう。
トラジャ特産のイカット布(織物)に包まれて。

お葬式を行うまでは亡くなったという認識は持たずに、まだ生きていると考えられていて
話しかけたり、ご飯も毎食運ぶそう。
セレモニーを行う間、故人の配偶者は家(家の敷地内)にずっといる決まりになっていて
買い物さえ行ってはいけないのだとか。(でも今はこの伝統はあまり守られていないとの事)

そして更に… 私たちの目を点にしたのが
このアルビノ水牛。
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通常の真黒の水牛ではなく、突然変異で生まれたので希少性の高いこのアルビノ水牛。
皆さん、このタナトラジャでどれくらいの価値があると思いますか?
なんと!
驚きの300万円 / 1匹
最低でも300万円、時価1匹500万円かもしれない、とパオロさん。
車が何台買える…?

このアルビノ水牛はタナトラジャでは神格化された存在で
この水牛で土地売買が行われてしまうこともあるくらいで、お金と同じような価値を持つ。
故人を天国に送ってくれる、最も頼もしい、頼りになる天使と考えられているようだった。

この水牛が2匹いました。
ということは、、もしパオロさんの言うように1匹500万円だったら、2匹で1000万円!
確かに、、
上流階級でないと、出せない金額だと思います。

見ず知らずの私たちを快く受け入れて見学させて下さった遺族の方々。ありがとうございました。
実はここで活躍したのが
スーパーで購入したコカコーラとお砂糖。
こういった現物ものが喜ばれるのだそうです。パオロさん、アドバイスありがとう。

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鮮やかなトラジャカラーと
伝統家屋トコナン、済んだ青い空。
生贄になる動物のパレード、生贄にされてしまう現場と動物たちの悲痛な叫び。

昨日までジャカルタの日常生活だったのに
今目の前で行われているこの光景は、一体どこの世界で起こっていることなんだろう…

ジャカルタから夜中移動してきた後で寝不足だったこともあって
頭の思考回路もマヒしているし、夢を見ているような
とても不思議な感覚に包まれていた。

この日、このセレモニーの後もトラジャの観光名所を次々と見学します。
そのお話は次回にご紹介しますね。
by unomin | 2013-01-03 14:17 | インドネシア国内旅行